8月16日(日)神奈川県聴覚障害者連盟(以下神聴連)主催による『咲む』上映会が、横浜市西公会堂で開催されました。
事前に会場、行政と協議を重ねた新型コロナウイルス感染防止対策を施し、安心してご覧いただける環境をつくり、11時の回、14時の回ともにチケットは完売!それぞれ、会場定員の250人(通常の1/2設定)合わせて500人が来場され、『咲む』の世界をお楽しみいただきました。
今回、神聴連では上映会情報をウェブサイト・SNSで積極的に発信、チケット購入サイトを開設、会場販売もキャッシュレス(PayPay)対応、アンケートも手書きではなくQRコードで対応など、新しい試みが満載でした。その結果、手話関係者以外の一般の方から大変多くのお申込みをいただきました。
全日本ろうあ連盟・石野理事長:「多くの方に来ていただき大変うれしく思う。きこえる人きこえない人が共に生きる社会をつくるため、そして手話言語、ろう者の文化の素晴らしさを伝えるために『咲む』を製作した。ここ神奈川の成功が全国の励みになる。ここをきっかけとして50万人、いや全国100万人に観ていただきたい」
神聴連・河原理事長:「すべての人が生まれてきてよかったと思える社会をつくるには私たちは何をすべきか、を考えさせてくれる映画。このテーマは今神奈川県で取り組んでいる『ともに生きる社会かながわ憲章』の理念と同じ。この映画を一人でも多くの方に観ていただき、『ともに生きる社会かながわ』を実現していきたい」
『咲む』が始まります。
115分の心地よい時が流れ、上映終了後は、感動と称賛の拍手の波!
その後、舞台に書道家・金澤翔子さんが揮毫した『咲む』が登場、続いて早瀨憲太郎監督、主演の藤田菜々子さん、島かおりさん、丘みつ子さん、河本準一さん(次長課長)、金澤翔子さんが登壇し、楽しい舞台挨拶が行われました。
そして、映画『咲む』及び神聴連の方々の運営に満足されたご来場者から47,000円を超える募金を頂戴しました。皆様、ありがとうございました!
早瀨憲太郎監督:皆さん観てもらえて本当にうれしいです。一人ひとり感想をききたいけど今日は司会を。映画の感想と撮影現場で印象に残ったことをお願いします。
早瀨憲太郎監督
藤田菜々子さん:うまく演技できてたかな?この映画のメッセージを自分の演技で皆様に伝えられることができていたらとてもうれしいです。現場はものすごく田舎の雰囲気でしたが、まさかイノシシがいるとは!現場で食べたイノシシ鍋が忘れられません!
藤田菜々子さん
島かおりさん:瑞月ちゃんの魅力満載でとても元気をもらいました。この映画に参加できてうれしかったです。瑞月と八重が仲直りするところ、自分で演じていてほろっとしました。普通とは違う、音のない静かな現場なのですが、熱が伝わってくる現場でした。とてもいい、貴重な経験をさせてもらいました。
丘みつ子さん:こんなに清々しい映画になるなんて。今、心が清らかになってます。でも早瀨監督が横浜から現場の秦野まで自転車で来たのが信じられない。脚本も書いて、こんな監督はじめて(笑)。そして瑞月ちゃんはものすごく食べるの!これがエネルギーになっているのね、いいなぁと思ってましたよ。
河本準一さん:(手話言語で)河本です。映画の最初のほうに出ていたので、皆さん忘れてないですか? 瑞月ちゃんの無音のシーン、手話言語をみんなが楽しく覚えたらもっといい世界になると監督から教えられたと感じた。現場は撮影の記憶がないほどスピーディに終わった。演技がよかったのか、時間がなかったのか(笑)
金澤翔子さん:『咲む』を観て、涙して、感動して、心を込めてこの字を書きました!
金澤翔子さん
目が腫れちゃってるけど、最後泣いちゃって、泣いちゃって。おばあちゃんとかお父さんとかの気持ちがたまらなかったです。おばあちゃんがみんな話してくれたよと、娘がお父さんに話してくれるところがあるじゃないですか。たまらないですね。昔、母親が手話勉強してて、僕もちょっと勉強したことがあるのですけど、この映画観てまたもう一回勉強しなおそうかなと思いました。(きこえる人・男性)
ほんとに主役の瑞月ちゃんがいきいきと生きている姿を見て本当にその姿に励まされたというか、一人一人が自分の役割を見つけて歩める社会になったらいいなと思っています。(きこえる人・女性)
音声ガイドを初めて使ってみて、ちゃんと映画を楽しむことができました。場面や人物ごとに声を変えたり、雨などの情景の説明もとてもわかりやすく、自分が映画の舞台に入れるような表現をされていて、よかったです。音声はタイミングがぴったり合っていて、映画の中の台詞を邪魔しないような間で入ってきていて、聞きやすかったです。(視覚障害者・男性)
聴覚障害に限らず、障害をもって産まれた子どもたちが健常者、きこえる人と同じように育てられること、一方で恥ずかしい、目に触れないように、障害を隠すように育てられること、どちらも当事者にとって自己肯定感のもてる育ちには繋がらないと思います。ありのままの我が子が輝くように子育てする方向に導く役割が教育や、子育て支援に携わる者に求められていると思います。早瀨監督の映画は、一人一人の命の大切さと一人一人が輝くように生きるためにどうしなければいけないのか、そんなメッセージを伝えてくれていた気がします。感動的な素晴らしい映画でした。たくさんの人々に見てほしいです。(きこえる人・女性)
何回泣いたか分からないくらい、涙が出てきました。私が日常生活で感じる不自由さなんて、大したことない!小さなきっかけも見落とさず、前に進んで行きたいと思いました。(きこえる人・女性)
物語として十分に楽しめた。障害のことだけでなく、ともに生きる社会の実現に向けて自分がどう考えてどう生きていくかを考えさせてくれる映画だった。映像がとてもきれいだった。エンディングの夏川りみの歌「花になる」もジーンときた。また観たいと思う映画だった。(きこえる人・女性)
ろう者の視点で描かれた優生思想、そして、そのリアリティをさりげなく具現化したのはすごい。脱フィクショナルムービーの先駆け!(きこえない人・女性)
瑞月さんを中心にいろんな方々とのふれあう中、それぞれの成長経過がよく出ていた作品だと思う。本当に大変なご時世ですが、観に行ってよかったです。気持ちの浄化ができました。(きこえない人・女性)
昨今賑わしているエンターテイメント映画(騒がしく、過剰演出)に辟易していたなか、そういう手のものではない、ゆったりと流れる、ひとの呼吸のような、芽吹く草花のような、人と人とが触れあう、たゆたうような流れ、そこから発芽する思いのバトンがなぜか心地よかったです。観ながら、なんだろう?この心地よさは?と思考をめぐらすも、 自ら思い到ったのは、おそらく制作にかかわっている人たち(監督、俳優たち)のやさしさ、映画への思いから醸しでてくるものではなのか?という思いをもちました。(きこえる人・男性)