映画について

あらすじ

看護師試験に合格したろうの女性の瑞月(みづき)は、就職活動で苦戦。

そんな折、ある村の診療所で雇われる話が舞い込み、意気揚々と村にやってきた瑞月。

しかし、採用を見送られることになり、落ち込む瑞月に役場からの仕事の紹介が・・・。

村に住みながら懸命に取り組む瑞月だったが、様々な壁が瑞月を阻んでいく。

相手を想っての行動が思わぬすれ違いを生み、そのわだかまりを解くこともできずに苦しんでいる大人たち。

瑞月の起こす行動は、そんな大人たちを少しずつ変えていく。

そして、村も大きく変わっていく・・・。

CAST & STAFF

主演

畑 菜々子

監督・脚本

早瀬憲太郎

タイトル『咲む』に寄せて

早瀨 憲太郎

昔から伝わる大和言葉「えむ、えみ」です。
万葉集『わが背子はにふぶにえみて立ちせまり見ゆ』にも使われています。
「えむ、えみ」は昔から咲む、「咲」みと咲の漢字が使われていました。もともとは「笑う」の古語は「咲く」という言葉からきています。ほほ笑むは花が咲いている様子をさしておりそこから笑うという意味が生まれています。ほほ笑むのえむもその語源は「咲む」です。
「咲む」には、笑い顔になる、花が咲き始めつぼみがほころびる、果実が熟するという3つの意味があります。この美しい言葉を是非多くの人に知ってもらいたいと考えました。
昔から伝わるこの言葉は、長年のろうあ運動が目指してきた誰もが共に生き共に笑いあえる社会にもつながります。全日本ろうあ連盟70年の運動は多くのろう者とそれを取り巻く社会に「咲み」をもたらしました。未来の耳のきこえない子どもたちにそしてすべての人達に多くの「咲み」をもたらすべく未来に向けてこれからもろうあ連盟は前を向いていきます。

「咲む」は未来に向けた私たちのメッセージです。

日本最古の歌集と『咲む』

長野 秀樹(長崎純心大学教授)

映画のタイトル「咲む」は『万葉集』巻十六・三八一七「かる臼(うす)は田盧(たぶせ)のもとに吾背子(せこ)はにふぶに咲(ゑ)みて立ちませり見ゆ」から採られた。「かる臼」は「唐(から)臼(うす)」のことで柄の長い杵と対になった臼。「田盧」は、粗末な田舎の家。「背子」は夫。「にふぶに咲みて」はにっこり笑って、である。よって、歌の大まかな意味は「唐臼は田舎の粗末な家のそばにある。私の夫(あなた)が(近くに)お立ちになって、にっこり微笑んでいるのが見える」ということである。「咲」は「笑」の古字で「わらう」の意味であるが、大笑いではなく、にっこりと優しく微笑むという意味。また、「咲む」には「笑う」だけではなく、「花のつぼみがほころぶ」「栗のいがなどが裂け開く」(『古典基礎語事典』)という意味もある。

『万葉集』は日本最古の歌集であり、幾度かの編纂を経て奈良時代末期に二〇巻にまとめられた。歌の数は四五一六首、天皇、皇族から防人や名もなき庶民まで、万の言の葉が集められている意味を込めたのというのが、書名の有力な説である。新元号「令和」が巻五「梅花三十二首」の「序文」から採られたことで、関心が高まっている。

CREDIT

製作:全日本ろうあ連盟創立70周年記念映画「咲む」製作委員会
制作プロダクション:株式会社ターゲット
©一般財団法人全日本ろうあ連盟 映画「咲む」製作委員会